予定利回りは当てにならない?知らないと損する為替ヘッジの仕組み
予定利回りは当てにならない?知らないと損する為替ヘッジの仕組み

クラウドファンディングの大きな魅力と言うと、利回りが大きいとでしょう。この利回りを目当てに投資する投資家も多くいます。ただこの利回りは必ずしも、その通りになるとは限らず、気をつけないとなりません。
目次
クラウドファンディングの予定利回りと実利回り
それでは早速実際のクラウドファンディングの予定利回りと実利回りを紹介し、利回りに差が生まれたのは何故かを見てみましょう。
クラウドクレジットの例

クラウドクレジットは、新興国への貸し付けをメインに事業展開している会社であり、融資型クラウドファンディングでは後発となりますが、マネックスグループが出資しており、安心感はあります。
10%を超えるような高利回りを実現している案件が多く、ペルーやブラジルなど、新興国中心の案件になります。イメージとしては高利回り債権に投資するような感じです。運用リターンに30%の所得を引き、さらにそこから国内で源泉徴収が行なわれ20%引かれコストが多いですが、それでも期待とリターンも大きいです。
10%前後のリターンが期待できますが、その中でもカメルーン中小企業支援ファンド3号」が期待利回り13.2%に対し、期待利回りを上回る28.3%を実現しています。その一方で東欧金融事業者支援ファンド4号」では期待利回り10%に対し、実利回りは9.5%と損失は出ていませんが、予定利回りよりも少し低くなりました。
・カメルーン中小企業支援ファンド3号
こちらは為替ヘッジなしのファンドであり、資金運用日数は210日、実利回りは28.3%となり、期待利回りより大幅にアップしています。実利回りが大幅アップした理由としては、運用開始時のユーロ円が113.26円であったのに対し、運用終了時は1ユーロ122.38円と円安に動き、為替利益が大きかったためというのがあるようです。
この辺はFXにも似ている部分があり、為替ヘッジなしの案件であり、結果的にはプラスになりましたが、円高になっていれば想定以上に利回りが低くなっていた可能性もあります。
・東欧金融事業者支援ファンド4号
こちらは為替ヘッジありのファンドであり、運用期間日数は195日であり、期待利回りは10%に対し、最終的な実利回りは9.5%となりました。
実利回りが下がってしまった原因には、為替ヘッジコストが予定よりも多くなってしまったことに原因があります。為替ヘッジは為替リスクを軽減してくるにはとても有効的ですが、コストがかかり、その分運用時と終了時の為替の大きく差が出て円高になると、コスト増となり利回りが期待通りになったとしても、コスト分を引くと期待利回りよりも低くなるというデメリットはあります。
ただ今回の場合でも、期待利回りよりは低くなりましたが、実利回りは9.5%となり、国内の投資案件よりも大幅に高いリターンを実現しています。多少利回りが下がったとしても、為替リスクを気にせずに投資できるというメリットがあります。
ガイアファンディングの例
為替ヘッジを行なっていて、高い利回りを実現しているクラウドファンディングの1つとして、ガイアファンディングがあります。
こちらはすべての案件が為替ヘッジありとなっており、EU離脱のような超円高になるような影響も考慮せず投資が出来ます。運用利回りは、平均して10%となっており、こちらもクラウドクレジットに負けず劣らず、高い利回りが期待できます。
多くは海外不動産の投資案件を扱っているクラウドファンディングであり、アメリカを中心とした案件を取り扱っています。そして特徴の1つが、すべての案件が担保付きであり、貸し倒れに対するリスク対策も行なわれています。
ファンドとしての運用期間は18ヶ月など長めの案件が多いので、長期的に投資したい人におすすめです。
為替ヘッジとは何か?
クラウドファンディングでは為替ヘッジありの案件と、無しの案件があります。ありとなしでは何が違うか理解しておき、どの案件に投資するか決めるべきです。
為替ヘッジとは外貨建てで投資する場合に、一定の為替レートで外貨と円を交換する契約を結ぶ方法であり、為替変動による損失を回避するための方法です。このために、投資期間終了時に為替が変動していても、最初から一定のレートで交換することを決めていますので、為替変動のリスクを回避できます。
たとえば1ドル100円の時に外貨に交換し、1ヶ月後に同じく1ドル100円で売る契約を結びます。投資期間終了時に1ドル90円となっていたとしても、為替ヘッジを行なわなければ1ドルで10円の損失ですが、為替ヘッジを行なっていますので、1ドル100円で売る契約を結んでいるので、為替レートの変動の損失は回避できるのです。
ただ必ず為替ヘッジには金利分のコストがかかり、金利のコストが5%だとすると、外貨建ての投資資産が10%の利回りを実現しても、コスト分の5%を引き5%だけの利益となります。これが4%しか利回りが実現できないとなると、コスト分の5%を引き、1%の損失となってしまいます。
為替ヘッジありとなしの投資案件はどちらがよい?

円を外貨に交換し投資するような、海外の投資案件では、為替ヘッジありとなしの案件があります。
為替ヘッジを行なわないファンドの場合は、円安になると為替益が得られますので、利回りがプラスになる場合が多いです。場合によってはカメルーン中小企業支援ファンド3号のように大きなリターンも期待できます。しかし、円高になると、為替差損が生じ、例え利益が出たとしても為替差損で利回りはマイナスになる可能性はあります。
為替ヘッジを行なうファンドでは、為替レートの変動は、ほとんどファンドの利回りには影響は及ぼしません。ただし為替ヘッジにはコストがかかりますので、為替の同行によらず、マイナスの要因になる場合もあります。
為替ヘッジありとなしの案件を比べると、やはりなしの案件の方が、利回りは大きく跳ね上がる可能性があり、投資する人にとってもおもしろみはあるでしょう。場合によっては利回りがマイナスになる可能性がありますが、予想外の利益になるという可能性もあります。また逆に為替レートの変動の心配をしないで投資したいという方には、為替ヘッジありの案件の方が、気持ちとしても安心感があります。
新興国通貨の案件はどのように考えるべきか?

たとえば、クラウドクレジットの案件に関しても、為替ヘッジありとなしの案件は以下のようになります。
為替ヘッジあり
・カメルーン中小企業支援プロジェクト
・北欧個人向けローンファンド
・欧州3か国個人向けローンファンド
為替ヘッジ無し
・カメルーン中小企業支援プロジェクト
・ペルー小口債務者支援ファンド
・リトアニア個人向けローンファンド
・東欧金融事業者支援ファンド
・ジョージアマイクロローン事業者ファンド
為替ヘッジは為替変動のリスクを軽減出来るリスク回避方法だということがわかりました。海外の案件に投資する場合は、もちろん為替ヘッジをどうするか考えるべきではありますが、ファンドによっても案件によっても、取り扱う通貨やその国の事情や政治状況は違い、投資家が為替ヘッジをどうすべきか考えるのは難しいでしょう。またその時によって相場のトレンドも円安か円高でも考え方は違ってきます。新興国通貨の例をとって、どう考えるか見てみましょう。
為替ヘッジありの方が安心感はある

ペルーやカメルーンなどの新興国の案件も、クラウドファンディングでは扱います。
これらの国は独自の通貨を採用し、国内で流通している通貨は基本は自国通貨です。国際的に見ると流通量が少なく、大きな経済イベントなどが発生すると、一気に為替相場が上下に激しく動きます。やはりドルや円などのメジャーな通貨と比べると激しく動くときは、メジャー通貨以上に動きます。
このために新興国の案件に投資するときは、為替ヘッジがあった方が安全とは言えます。ただ円安になると大幅に円安まで動くこともありますので、為替ヘッジを付けずに、大きな利益を狙うというのも1つの投資の仕方です。
元利均等で毎月分配金をもらい、為替変動の影響を少なくして投資するという考え方もありますが、ヘッジを行なわないなら、一方的に円高に進むと、毎月損失ばかりが増えるということにはなります。ただ満期一括でリターンを期待するよりは、ダメージは少ないかもしれません。
手数料を考える

為替ヘッジありにする場合は、そのコストを考えないとなりません。手数料を徴収するようなファンドもあり、その手数料が高すぎれば、いくらヘッジを効かせて相場変動のリスクを減らしたとしても、その為替ヘッジありの案件投資すべきかどうかは、一度よく考えるべきです。
為替ヘッジを行なうと、投資家は手数料ばかりでなく、ヘッジのコスト、つまりは金利分も損失として発生します。この2つの手数料と金利で、多少利回りがプラスとなっても、結果として損失になるということも考えられるのです。
手数料が数%程度であれば、高いとは言えませんので、十分投資するのに値する案件といえますが、20%などという手数料では高いと言わざるおえなく、ファンドの中には実際にそれぐらいの手数料の会社もあります。ただ最近はクラウドファンディングでも、手数料を無料にするという会社も増えてきています。
為替ヘッジは個人の考え次第
為替ヘッジありの案件となしの案件どちらが良いかは、それぞれ投資家個人の考えになります。為替ヘッジがあれば相場変動でもリスクは少なく、為替ヘッジなしであれば、円安になれば為替利益もプラスになり、円高になればその分の損失が利回りから引かれます。ただ相場が大きく円安になったような場合は、やはり為替ヘッジ無しの方が利益は大きくなります。