地域×クラウドファンディング。FAAVOの功績と未来の地方創生

地域に特化した購入型クラウドファンディングサービスFAAVO(ファーボ)は、新たに岩手県・栃木・茨城・富山エリアを開設いたしました。同時に、現地のFAAVOを運営いただくエリアオーナーの募集も行っています。
今回のクラウドファンディング開設に伴い、全都道府県にエリア開設が完了。地元の自治体や企業と連携を強め、より地方活性化を推進します。
FAAVOは購入型クラウドファンディングですが、地域おこしには購入型では少し規模が小さいという懸念もあります。この辺は記事後半で触れますので、兎にも角にも一読いただければと思います。
目次
FAAVOとは
FAAVOとは、地域密着型のクラウドファンディングです。
地方に特化したプロジェクトを掲載していますが、その地域にいる人だけでなく、その地域が好きな全国のファンからの支援で成立しているのが特徴的です。地域版が今回の4エリアで出揃ったカタチのFAAVO、ここまで地域に触手を伸ばせるのも、SNSやインターネットメディアの発達で遠隔地の情報が共有されがちな性格ゆえでしょうか。

これはFAAVOの福岡版クラウドファンディングです。地方都市の福岡の中でも田舎の地域支援や寄付色の強いプロジェクトが多いのが印象的です。
地域密着型クラウドファンディングは成功傾向

購入型クラウドファンディングのプロジェクト成功率は約6割程度と言われていますが、地域特化型はやや高い7割ほどの成功率を維持しています。
FAAVO以外にも地域特化型のクラウドファンディングや、地域おこしのプロジェクトは増加傾向にあるようです。
別府の「湯〜園地」プロジェクトは行政が起案し、数々のメディアにも取り上げられる大成功を記録。福島県の「チャレンジふくしま創生プロジェクト」も依然として注目されています。

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iikuniはなんと成功率90%超

そんな中、鎌倉に特化したクラウドファンディング「iikuni」は、驚異の成功率90%超えを維持しています。
神奈川の中でもさらに狭い鎌倉でのクラウドファンディングですが、全国的にファンが多い土地柄と成功のノウハウが噛み合った結果の数字と言えるでしょう。
ふるさと納税も活性化に貢献

地域おこしクラウドファンディングといえば、無視できないのがふるさと納税やガバメントクラウドファンディングです。
今や誰もが知る存在となったふるさと納税。地域応援の代表的なサービスには変わりありませんが、返礼品の賞レースとなりつつある今、そのあり方を見直すべきという声も少なくありません。
たしかに見境なく豪華な返礼品で納税を促す姿は本来の地域応援の目的とは違っているのは自明です。これは、自治体と納税者の考え方のバランスの調整が必要なところでしょう。
購入型クラウドファンディングの問題点
さて、ここからが地域おこしクラウドファンディングの課題です。
冒頭にも言った通り、購入型クラウドファンディングでは支援の規模が小さいというのが論点です。
購入型では集められる資金のπが少ない
問題はこれに尽きます。別府の湯〜園地のように、突飛なアイデアで話題性に富んだプロジェクトはたしかに多額の資金を集めることはできるでしょう。しかし、そういったプロジェクト起案はごく稀なのに加え、面白いアイデアありきというのがハードルです。
購入型のリターンはサービスや製品なので、その内容にも知恵を絞る必要があります。これが良いものでないとまずプロジェクトは成功しません。
ではどうすべきか。
簡単です。これから町おこしとして地域が活用すべきは「投資型クラウドファンディング」なんです。

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投資型クラウドファンディングの活用を
投資型クラウドファンディングとは、リターンが製品ではなく配当、つまり金銭であるというクラウドファンディングです。
行政は地元企業と連携し、クラウドファンディングで資金を集め、配当や優待という形での製品を返礼します。
さきほど述べたチャレンジふくしま創生プロジェクトがまさにこの形でのクラウドファンディングを行っており、運営会社セキュリテを通して福島の事業ファンドに投資できます。

福島県の中小企業に投資し、その利益からの配当に加え、特典として製品も受け取れるという、投資型と購入型の間のような形式です。チャレンジふくしま創生プロジェクトは募集額が数百万ですが、投資型クラウドファンディングとしてきちんと毎月の金利配当を確立できる企業であれば、もっと大きな額の額を調達することが可能でしょう。
CAMPFIREの参入

購入型クラウドファンディングの国内最大手、CAMPFIREも投資型に参入します。これは昨年発表され業界をざわつかせたのですが、代表の家入氏も投資型への参入理由として、購入型では集められる資金のπが少なく、もっと大きな額の支援が地域にあれば・・・という話をされていました。
現在は不動産屋再生エネルギーが主流の投資型クラウドファンディングですが、地域の事業支援という投資先がより増加していくと思われます。
CAMPFIREは画期的なアプローチで若者層を取り込みのが非常にうまい企業であるため、若者の投資に対する考えや、投資率にも変化が起きることを期待しています。
これからの地方創生
地域が投資型クラウドファンディングを活用することは、よりNPO的な役割を果たすはずです。
少しずつ資金を投資し配当を受け取りながらも、その生きたお金が廻り回って世の中をほんの少し良くする。その恩恵を受けた誰かがまた・・・。そういった「寄付」色強い投資の恩恵を皆がリターンとして受けとる。これこそが行政とクラウドファンディングの理想的な交わりではないでしょうか。
可能性に溢れながらも地方という理由で枯渇していく地域財政も、クラウドファンディングでなら大いに振るい興すことが可能です。
地方創生とは決して地方人口の増加というだけではなく、人口を長期的に安定させること、人口減少を前提としたシステムづくり(公共施設の最適化、年金制度の確立など)が重要になってきます。
そのためにも、行政と企業がリンクしたクラウドファンディングは、単純に経済だけでなく、労働口や年金、子育て福祉改善にも影響しあい、よりよい地域おこしの手立てとなるはずです。
もちろん投資家としても、安定した投資先が増加することは大いに歓迎するところです。
投資型クラウドファンディング。ーこれからいろんな形のクラウドファンディングが世の中を潤すであろう変遷に期待を込めて、地方創生の鍵といたします。