実録!弁護士や行政書士に相談されたトラブル事例まとめ
実録!弁護士や行政書士に相談されたトラブル事例まとめ

今回は広くクラウドファンディング業界全体で起きたトラブル事例を集めてみました。現在では法改正も行われ、怪しげな業者やサービスはそのほとんどが淘汰されています。
しかし、過去の教訓を活かすためにも投資家の皆様には是非しっておいて頂きたい内容となっています。投資家は自分の身は自分で守るのが基本です。トラブル回避術をしっかりと身につけるためにも勉強しておきましょう!
目次
かつては頻発していた?クラウドファンディングのトラブル
元々クラウドファンディングやソーシャルレンディングというのは自己責任の世界でした。トラブルも大変多く、故意なのか偶然なのかもよくわからない問題が頻発していたのです。
クラウドファンディングは基本的に投資家がお金を出し、資金ニーズのある調達者はそのお金を使って事業なりプロジェクトなりを実行に移します。投資家は調達者が提示した事業の目論見などを確認し、信用できた場合にはお金を出す、という流れになるわけです。
しかし、まだ運営会社のノウハウが未熟だったり法規制が甘かった時代には、投資家が調達者について十分チェックすることが難しかったですし、はっきり言って調達者の中にはかなり怪しい主体も多かったのです。
トラブルが起きやすいクラウドファンディングの種類

トラブルが起きやすいクラウドファンディングは融資型にしろ、購入型にしろ個人間でのやり取りに近いシステムである場合です。出資者と調達者の間に入るのが第三者的な単なるWEBサービスである場合、ほとんど調達者に対する厳密な審査は望めません。
そのため、出資者は調達者の「善意」に頼らざるをえない部分が多く、資金の使途が途中から不明になったり、プロジェクトが成功したのか失敗しのかはっきりわからないまま調達者が行方をくらましてしまうなどの問題が多く発生していた時期もあるのです。
海外サイトを利用する場合は要注意!

海外ではクラウドファンディングの歴史も長く、その裾野も広いため数多くのクラウドファンディングを仲介するサービスが存在します。ですが、やはりその質はピンからキリまでと言わざるを得ず、連絡がほとんど取れなかったり入金が遅延したりといったトラブルはかなり多くなります。
中には海外サイトを装った詐欺サイトも存在し、投資家に泣き寝入りさせることを初めから狙っているような悪質な事例の情報も寄せられています。
購入型クラウドファンディングでのトラブル事例
購入型クラウドファンディングは、ベンチャー企業や個人のクリエイターが、何かしら画期的な商品を開発・制作するための費用を調達するために利用されるものです。投資家は資金を拠出し、そのプロジェクトが成功したあかつきには販売価格よりも安く、優先的にその商品を手に入れることができるのです。
もちろん、問題なくお金が集まり、そしてプロジェクトが成功して商品が手元に届けば問題ないのですが…これまで様々なトラブルが発生しているようです。
プロジェクトが失敗した!お金は返されないの?

お金が募集金額に達し、プロジェクトがスタートしたものの途中で頓挫。残念ながら商品が完成することはなく資金が枯渇してしまった場合、出資者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。
このようなケースでは、そもそもの募集金額自体が妥当であったのか。立案されていたプロジェクトに無理はなかったのかが問題となります。そして、法的な手段に訴えた場合、出資者側が勝てるかどうかはプロジェクトの失敗について恣意的なものではなかったか。或いは、投資家に対する事前の説明に虚偽の内容が無かったが焦点となります。
具体的な事例としては、5年前に国内のあるベンチャー企業が新型のドローンを開発するための費用を募集たところ、目標金額には達したのですが結局ドローンの開発には失敗。ベンチャー企業自体が破綻し、出資金額は全く投資家に戻らなかったというトラブルがありました。
この時、投資家の一部は法的な解決を計るべく弁護士に相談したようですが、結局は破綻した企業からお金を取り戻すことは難しかったようです。
失敗が前提?詐欺のようなクラウドファンディング!

購入型クラウドファンディングにはかつてもっと悪質な事例もあります。これも資金調達の目的は新製品の開発だったのですが、投資家に対する説明の中身は全くのデタラメ。
お金を集めるだけ集めておいて調達者はさっさと姿をくらましてしまったのです。つまりクラウドファンディングを利用した詐欺だったわけですね。投資家らは弁護士を通じて刑事告発まで視野に入れて行動していましたが、相手が外資系企業(を名乗っていた)事もあり解決は難しかったようです。
(個人間)融資型でのトラブル事例
クラウドファンディングの一種、ソーシャルレンディングは現在の融資型クラウドファンディングの基礎となった仕組みです。
資金の調達者は個人であり、現在ではあまりクラウドファンディング投資の対象とはなっていませんが(現状では法人に対する融資がほとんど)、以前は個人間融資が活発に行われていた時期もあり、同時にトラブルも頻発していたのです。
個人間融資のトラブル事例

個人間融資の最も多いパターンといえば友人関係での貸し借りですよね。ですが、ここではあくまでもネットを介したソーシャルレンディングという枠組みの中で起きたトラブルの事例をご紹介したいと思います。つまり全くの赤の他人である個人間でのお金の貸し借りによるもの、という意味ですね。
ご紹介する事例では、調達者のAさんと出資者のBさんはソーシャルレンディングを仲介するネット上の掲示板で知り合いました。その後、BさんはAさんからお金の使用目的や、金額、Aさんの身分証などの情報を伝えてもらい、借用書を作ったうえで年利10%で10万円を融資したのです。
その後、Aさんからはしばらくの間利息と元金の一部の返済がありましたが、ある時を境に全く連絡が取れなくなってしまったのです。
当然、Bさんは弁護士に相談しに行きましたが、なんと提示してもらっていた身分証明書の類は全部ニセモノ。このまま弁護士に調査を依頼しても元金が10万円ですし取り戻しても赤字になります。おそらく、はじめから逃げることを前提とした少額詐欺だったのであろうとのことです。この手の犯人は同時に同じような手口で何人も騙していると見られます。
現在ではこのようなほぼ純粋な個人間のソーシャルレンディングはあまり行われていません。あまりにトラブルが多いですからね。ただ、調達者がどんな人間であるかをきちんと確認しなければならないという意味では、法人相手であっても、間にクラウドファンディング運営会社を挟んでいても、同様だという点は肝に銘じておきましょう。
クラウドファンディング運営会社が破綻?夜逃げ?!
考えたくもない事ですが、クラウドファンディング運営会社が破綻したり財務的にピンチに陥ってしまった場合はどうなるのでしょうか。
これは米国での事案ですが、lending clubという運営会社が投資家に全く通知することなく調達者に対する審査基準を甘くし、本来ならば融資するには至らない企業や団体に対して資金を提供するという事件が起こりました。投資家は基本的に運営会社のことを全面的に信頼して投資を行っています。これが根本的に崩れたショッキングな事件だったと言えるでしょう。
日本の運営会社でのトラブルは?

日本でも過去に小さなクラウドファンディング運営会社が行政指導を受けたことはあります。これは資金の分別管理に関する違反だったのですが、投資家らに直接的な損害は発生しなかったものの、コンプライアンスを遵守する運営会社でなければ付き合ってはならないという大原則を改めて感じさせる出来事でした。
弁護士はどこまで対応してくれる?法的手段に訴える方法

クラウドファンディングの形態によってトラブルが起きた場合の解決方法は違います。クラウドファンディング運営会社財務が破綻した場合であっても、資金の分別管理がなされている場合は資金は保全されているはずです。
また、仮に出資した案件が失敗した場合でも、それは法的に訴える対象ではなく単純に投資が本来持っているリスクがたまたま顕在化しただけと言えます。
問題となるのは個人間でのソーシャルレンディングや、購入型クラウドファンディングにおいて、詐欺的な行為が調達者側にあった場合です。
この場合、購入型であれば被害者が複数人存在するはずですから被害者団を結成して弁護士に相談すれば動いてもらえる可能性は高くなります。
一方、個人間でのお金の貸し借りの場合は、借用書を持って弁護士の元へ行くか、金額によっては直接少額裁判を起こすことになります。ただし、これはあくまでも相手の身元がはっきりしている場合のみ有効です。ほとんどの場合、始めからお金をだまし取るつもりだった犯人のしっぽはなかなか捕まえることは出来ないのです。
つまり、クラウドファンディングやソーシャルレンディングでは、投資の失敗なのか犯罪行為なのかの見極めが難しく、また仮に犯罪だったとしても犯人にまでたどり着くための証拠がかなり限られていると言えるのです。
大手業者を利用したクラウドファンディングは安全?

それでは、皆さんが最も気になる大手クラウドファンディング運営会社を利用して投資を行った場合の危険性は、一体どのくらいあるのかを考えてみましょう。
まず、大手業者の場合コンプライアンス違反によるトラブルはほぼ考えられません。つまり法に違反していないわけですから弁護士や司法書士の出番は無いわけですね。
となると、純粋に投資の失敗だけを考慮すれば良いことになります。基本的に運営会社は投資家と運命共同体です。めったに失敗しないクラウドファンディング投資でデフォルト案件が発生したとなれば、その運営会社の信頼度は一発で地に落ちます。それだけに、相当シビアな審査が行われていると見るべきです。
クラウドファンディングで安全に稼ぐためには、個人間の融資や、主体がいまいち不明な購入型ではなく、しっかりとした運営会社を利用しての融資型、もしくは投資型がベストというわけですね。